Takayoshi Nakagome

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市川橋

市川市に生まれた喜びの一つは、千葉県と東京都を結ぶ市川橋があることだと思う。市川市で生まれて市川市で育った僕は、一体何回この橋を渡ったのだろう。以前、小学生が撮った、総武線が市川橋を渡る写真を見たことがあった。「電車が好きなんだね」と言うと「この電車に乗って、この橋を渡って、パパは毎日、楽しいことや嬉しいことに会いに行くの。だから『市川橋ありがとう』っていう題名の写真なの」と教えてくれた。市川市に住む友人夫婦の子供が生まれる日に、本当は生まれた日の夕焼けの写真をプレゼントしたかったけど仕事の都合でそれが叶わず、「もうすぐ生まれそう」というメールを受け取ってから、アイリンクタワーの展望室に行ってこの写真を撮った。市川、市川橋、そして東京。今でも時々、市川市から見える朝焼けや夕焼けを撮る。いつか、みんなが撮った朝焼けや夕焼けの写真を集めてデーターベースにして、生まれて来た子が「自分が生まれた日の朝焼けや夕焼けの写真」をデスクトップピクチャーに出来る日が来たら良いなぁと思う。千葉方面から電車で東京に出る時に、幾つも橋は渡るけど、江戸川を渡る時の気持ちの高揚感が一番大きい。そして帰って来る時、外は暗くて車内は混んでいて景色はよく見えなくても、市川橋を渡る振動を感じて「もうすぐ家だな」とホッとする。今住んでいる吉祥寺はとても便利だし、恵まれた環境の中に暮らしていると思うけど、一つ物足りないのは、帰り道に電車が橋を渡らないことだ。あの「地元に帰って来た!」という実感が湧かないまま、最寄駅に電車が止まる。次に住むのはやっぱり市川市にしようかなと思っている。